酒を楽しむ新潟県/高千代酒造 “Takachiyo” 2品種ご紹介

高千代酒造は明治元年創業で、専ら手作業での酒造りにこだわった清酒蔵です。醸す酒米は、新潟でよく使われる五百万石や越淡麗ではない稀少な酒造好適米にこだわり、しかも自家・契約栽培で作られた米を丁寧に時間をかけて自家製米しているのが大きな特徴です。3つのブランドがあり、この「Takachiyo」は精米歩合 59% にこだわり、新しい感覚を取り入れ、「たかちよ」を発展させた進化系ブランドです。

Takachiyo59(極)純米吟醸 華吹雪

Takachiyo59(極)純米吟醸 華吹雪

新しい感覚を取り入れたブランドらしく、スリムボトルに貼られたラベルは優しく明るい色調で、ワインボトル型をしたバーコードからはさりげない遊び心を感じます。シャンパン用のフルートグラスに注ぐと泡粒ができ、いかにも濃潤で、きらめいたクリスタルカラーが清々しい印象です。

このお酒のラベルには chapter 4 と記されており、酒造りにおける様々なチャレンジの第4章に当たる製品という意味でしょうか、華やかなたたずまいの奥にある凛とした蔵人の強い思いに感銘を受けます。

扁平精米とは

酒米の華吹雪は青森で開発された品種で、粒が極大粒で心白が大きく、高精米に向かないため大吟醸は極めて珍しい酒造米です。その米を時間をかけて丁寧に精米することで、表層から不要成分を均等に削ることができ、精米歩合以上の効果を得ることができます。この精米法は米が扁平になるため「扁平精米」と呼ばれます。ですから、このお酒は、法律上は純米吟醸にあたるのですが、品質的には純米大吟醸に匹敵する造りとなっているのです。

酵母は「香り酵母」であるきょうかい 1801 号で、メロンやバナナを感じさせる香りが華やかです。特にこの酵母は不快な香りの原因となる成分が極めて少なく、際立つクリアな香りが魅力的です。

味わいはフルーティではありますが、まさに純米大吟醸並みのしっかりとしたうま味があり、濃いめの味の料理や肉料理にも合わせることができます。いろんなうま味が渾然一体となっている「干しエビの変り煮浸し」と楽しんでみたいです。

Takachiyo59(極)SEASON 2 赤色酵母ロゼ

Takachiyo59(極)SEASON 2 赤色酵母ロゼ

赤色酵母は桃色にごり酒用の酵母なのですが、このお酒はなんともクリアな色調です。「たかちよ」ブランドで桃色にごり酒を発売されているのですが、生にごり酒は瓶内でお酒が生きているため、漏れや暴発の恐れがあり、取り扱いに注意が必要です。そんな問題点をクリアにするべく、残留酵母をコントロールし、スタイリッシュに仕上げたのがこのお酒です。

Takachiyo59(極)SEASON 2 赤色酵母ロゼ

輝きのあるクリスタルピンク、瓶口からシュッと伸びるリボンのような縦長のラベルがとてもキュートでラグジュアリーな印象です。無濾過生酒特有のおりはボトルの底にパウダーのようにほんの少ししかなく、フッと吹けば消えるような繊細な印象です。

こちらも酒米は時間をかけ精米され、精密に不要成分が取り除かれており、極めてまれな無濾過生酒の純米大吟醸に匹敵する酒質となっているのです。こちらもフルートグラスで優雅に試してみたいと思います。ロゼシャンパンのようなフルーティさとコクが楽しめます。

かすかに炭酸ガスがありアルコール度が10%と低いので軽やかなニュアンスをうけるのですが、赤色酵母特有のさくらんぼのような酸が甘味と調和し、濁り酒特有の心地よい余韻が長く続きます。まさに進化系の桃色にごり酒です。

料理としては、かに味噌やイカゴロなど味がしっかりして甘味があるもの、また、ローストビーフやジンギスカンなど甘ダレやジャム煮の肉料理も良いです。今回のレシピからは「干し椎茸の煮物」はいかがでしょう。

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