ゼリーが旨味をひきたてる
子供の頃、ゼリーにはプリンにも寒天にもない特別な魅力を感じました。目の前で涼しげに、宝石のように煌めく。冷たい食感とフルーツや蜜の味がストレートに楽しめる夢のようなお菓子でした。
ゼリーとは水分を含んだゲル状のもの全体を指します。ゲル自体ドイツ語でゼリーの意味で、英語ではジェル、イタリア語ではジェラート、フランス語ではジュレです。フランスでジュレと言うと魚や肉を煮込んで固めたテリーヌやゼリー寄せといった料理をイメージしますよね。動物性のコラーゲンや植物性のペクチンによって食材がゲル化され、煮凝りやアスピック、ジャムやコンフィチュール等になるのです。長時間煮込むので手間がかかるのですが、市販のゼラチンを使うとお手軽です。
丸ごとトマト柚子ゼリー漬け
<材料>
- トマト(中)
- 板ゼラチン
- 柚子(刻み)
【合わせ調味料】
- 出汁
- 薄口醤油
- 濃口醤油
- みりん
1.
トマトのへたを取り除きます。
2.
次に湯剥きをします。へたの反対側に軽く十字の切り込みを入れておくと、皮が剥きやすいです。
3.
さっと湯通しし、氷水に落とします。
皮をむきます。
4.
ここでゼリーが登場します。
まず、ゼラチンを水で戻しておきます。
数十分で戻ります。
5.
合わせ調味料を鍋に合わせ火にかけます。
6.
戻したゼラチンを沸いた鍋に入れ、木べらで混ぜます。
7.
ゼラチンが溶けましたら、余熱を取るため氷水に鍋ごと入れ、冷まします。
8.
合わせ調味料をジップロックに入れ、先程の湯剥きしたトマトを漬け込みます。この時に柚子の刻みを一緒に入れます。
冷蔵庫で半日寝かせるくらいでOKです。
9.
盛り付けをします。ゼラチンが多少固まっていますので、先にトマトを取り出してジップロックの中で固まったゼリーを揉みながら潰して下さい。
最後、盛り付けの際にも刻み柚子をあしらえば香りが引き立ちます。彩りで穂じそ(紫蘇の花)とパプリカ(黄)を飾ります。
ゼリーはソースや出汁の旨味を固めるので、見ためが涼しげで、冷たい口当たりと凝縮した旨味が楽しめる、夏の疲れた体にしみわたる一品となります。今回の料理はまるごとトマトを出汁のゼリーに漬け込みました。ゼリーによって醸し出される清涼感、旨味、食感を、酸のある純米酒や純米吟醸で爽やかにお楽しみ下さい。