雁木がんぎ(八百新酒造)山口県


八百新酒造

山口県岩国市、県東部を流れる錦川が分岐した今津川のほとりに蔵を構える八百新酒造。創業1877年の歴史ある酒蔵です。

まるで一本の木材から像を丸掘りするかのように、米という素材そのものの可能性を引き出すことに注力。余計なものを足したり引いたりせず、シンプルに酒造りと真正面から向き合って醸す『雁木』は、全国のみならず世界中で高い評価を得ています。

原点回帰と新たなる旅立ちの決意が詰まった酒『雁木』

八百新酒造

銘酒『雁木』が誕生したのは平成12年。

明治時代の創業期から二代目の時代ごろまでは『新菊』と呼ばれる純米造りの銘柄で、地元では大変な人気を博していました。しかし、戦時中の規制や政府の方針によって糖類などの副原料を大量に使用する醸造法をせざるを得ず、ノウハウのない八百新商店は次第にシェアを落としていきました。それは、いつしか酒造りを断念せざるを得ない直前までの状況に。

蔵人たちのほとんどが離れていき、杜氏を含めわずか2名だけの蔵人と、出荷作業などをする従業員だけになった八百新商店。なんとか新製品を開発し続けることで、細々と酒造りを続けていました。

八百新酒造

時代が流れ、現蔵元である五代目・小林久茂氏が蔵元になり、八百新商店は八百新酒造に改め革新に着手。新たなる味の方向性を模索し、試行錯誤をしながら醸したその中で、一升瓶でわずか600本分の純米・無濾過生原酒に、荒削りながら大きな可能性を感じました。八百新酒造の原点回帰と新たなる船出の意味を込め、この酒に『雁木』という名前を付けてリリース。

『雁木』とは、船着場の桟橋へと続く木の階段のこと。かつて蔵の前には船着場があり、上流から運ばれてきた原料米はそこから受け取り、酒造りに使用していたそうです。
雁木から発し、雁木に回帰する。原点回帰する決意を詰め込み、蔵とも縁のある『雁木』と名付けられたそうです。

「おいしさを分かってもらえる人だけに飲んでもらおう」という姿勢を貫いたこだわりの酒は、少しずつ全国の日本酒ファンの間に浸透していき、今や世界中で高い人気を誇る有名銘柄へと成長しました。

妥協をしない、手間を省かない、余計なものを足さない。

八百新酒造

雁木のラインナップには純米酒しかありません。本醸造や吟醸といった製法も伝統的な技法ですが、雁木はそれを必要としていません。活性炭素濾過もいっさいしない。搾り上がった酒が二次加工を必要としない完成度に仕上がることを目標として酒造りに取り組む。これこそが、雁木流の醸造哲学です。

このクオリティを実現するためにはまず、準備に妥協しないことが大切と八百新酒造は語ります。

原料処理の段階から徹底された管理で取り組み、全ての酒を原料米10kgずつ小分けで手洗い~浸漬(吸水)。さらに浸漬後は、遠心分離機で表面の水をはらってから吸水率を確認し、時間を都度調整していきます。それがたとえどれだけの量でも、この小分けでの処理は欠かさず行っています。

人の手だけで行う麹造り、そして微生物のペースに合わせたきめ細やかな管理。微生物が人に管理されるのではなく、微生物に人が合わせる。都度、麹に合った繊細で最適な管理を行うのです。

さらに三段造りの最初に当たる初添の際、適切なサイズのタンクに仕込むというひと手間を必ずかけています。これは、タンクの中で麹と酵母がバランスよく混ざり、平行複発酵を円滑に行わせるため。雁木の味を醸すためには、欠かせない工程なのです。

ただひたすらに真摯に、そして丁寧に。
酒造りにまっすぐに向き合い酒を醸される『雁木』の味を、ぜひご堪能ください。

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