酒を楽しむ「24種類のボタニカルが奏でるやさしいシンフォニー」クラフトジン【尽】~Tsukusu~

24種類のボタニカルが奏でるやさしいシンフォニー
西酒造ジャパニーズ・クラフトジンʻ尽ʼ ~Tsukusu~

まずボトルがきれい︕ ジュニパーベリーのイラストが刷り込まれ、瓶底には地球を表現したというブルーが映えている。

嗅覚くすぐられるストレート

さてジンを味わうときの楽しみの一つがその香りです。

まずはストレート。

グラスに注いだ瞬間やさしい柑橘系の香りがジュニパーベリーの爽やかさを伴って漂ってくる。少し時間が経つとジュニパーベリーの香りを核にいろんな香りが複雑に絡み合ってきます。親分のジュニパーベリーが個性ある子分をたくさん連れてきたみたいなイメージ。何が入っているんだろうと考えるだけでも楽しくなってくる。何しろ24種類のボタニカルが使われているのだ。そして遠くに茹でたてのそら豆の香りが感じられるかなと思った頃から、複雑に絡み合った香りの中に統一感が生まれ落ち着いてくる。

上品でやさしくそれでいて個性的な香り、それも時間とともに変化していく香りのドラマを、うっとりと20分間ほど楽しませて頂きました。

西酒造ジャパニーズ・クラフトジンʻ尽ʼ

さて嗅覚を充分に満足させてもらったのでストレートで一口口に含んでみる。
やさしい甘味と爽やかな香ばしさがさっと口の中に広がっていきます。
その後結構ボリューミーなボタニカルの風味がしっかりと舌を捉えてきた︕
これ以上味に変化は起こらないであろうというところまで待った後でぐっと飲み込みました。ジュニパーベリーの爽やかでスパイシーな香りが鼻に抜けると、口の中に残るやわらかい甘味が徐々に消えていく。

これはストレートかロックで飲むのが一番。何かと混ぜるとこのジンの繊細な風味が壊れてしまいそう。

しかしバーテンダーとしてはこの ʻ尽 ʻの魅力を最大限に活かしたカクテルを作ってみたいとも思うので私の大好きなマティーニ、ギムレット、定番のジン・トニック/ソニック/リッキーで試してみることにします。

尽マティーニ (クラフトジン “尽 “を味わい尽くすためのマティーニ)

西酒造ジャパニーズ・クラフトジンʻ尽ʼ

ʻ尽ʼ の個性を最大限楽しめるマティーニを創ろうと、ʻ尽ʼ が持つやわらかな心地よい甘味と複雑で繊細なボタニカルの有機体をいかにマティーニに凝縮して味わい尽くせるかいろいろ試行錯誤してみた結果、現在のところ次のようなマティーニが出来ました。

味の変化をお客様に味わって頂けるようご自身でピールして頂くスタイルにしてみました。

ʻ尽ʼ とドライ・ベルモットを5:1の割合でステア。ドライ・ベルモットはこのジンの繊細さを壊さないようにチンザノを使いました。グラスの縁に切り目を入れたレモンピールを差し込む。マティーニ定番のカクテル・ピンで刺したオリーブを入れます。

まずそのまま飲んで欲しい。やわらかく口当たりのよいマティーニが楽しめます。レモンピールを絞りかけると、ʻ尽ʼ が持っているボタニカルの香ばしさと反応したかのように、はじけるような華やかな風味が口中と鼻腔に広がる。刺激が強くて中にはピールしなければ良かったと思う方もいるかも知れない。

でもしばしお待ちあれ。しばらく経つとレモンピールの渋みがうまいこと ʻ尽ʼ の繊細な香味の中に取り込まれ何とも言えないどこかに連れていかれそうな美味いマティーニが味わえます。

今回はドライ・ベルモットを使いましたが、代わりに ʻ尽ʼ の風味を最高に引き立てる白ワインを見つけたいと思っています。

ジン・トニック/ソニック/リッキー

西酒造ジャパニーズ・クラフトジンʻ尽ʼ

味の構成を考えるに当たって考慮したのはもちろん ʻ尽ʼ の持つ複雑で繊細なボタニカルの風味とやわらかく心地よい甘みを活かすことであります。それぞれのアイテムでライムを絞らないもの、果汁だけいれたもの、スクイーズしたライムを入れたもの3種類で試してみました。ジン・ソニックに関してはこのジンが持つやさしい甘さを考慮して、トニックウォーターと炭酸の割合を1:2に。

結論から言うとジン・リッキーが一番美味しい︕ソニックもトニックも美味いのだが。

このジンの持つ繊細な風味がいきいきと感じられるのがジン・リッキー。わざわざ試さなくても本来ストレートで味わうのがベストだと思ったものをロングドリンクするのならジン・リッキーだとなるのだが、舌は感覚的なものでたまに予想を裏切るので一応全部試してみました。

ʻ尽ʼ マティーニで味わった味の変化をジン・リッキーでも楽しめるように、カットしたライムをグラスの縁に添えてみます。何も入れないでもすごく美味しい。

そして果汁だけスクイーズしたのは当然のことながらよりフルーティで美味い。ライムを投入したものはやさしい風味の中にライムピールのかすかにはじけるような心地よい苦みが感じられる素敵なドリンクになりました。

ギムレット

西酒造ジャパニーズ・クラフトジンʻ尽ʼ

ギムレットは私が今まで味わった中で一番美味しいと思ったギムレットを出すBar & Espresso Booze の岡田さんに作って頂きました。

二人とも共通して感じたのは「やさしさに包まれて」です。やさしい甘さと繊細なボタニカルの風味はこのジンの特徴ですが、岡田さんのジンとフレッシュライムだけで作るシンプルなギムレットでは二つの特徴がライムの酸味と苦みを包み込んで丸い風味となって口の中に広がっていきます。

散々試作して試飲した後改めて ʻ尽ʼ をロックで頂きました。ʻ尽ʼ は造り手の熱い思いがひたひたと感じられる和のジンです。