新鮮な鰹を食べる
新鮮な鰹はやはり刺身で食べるのが一番です。皮を引いて造りにするのも良いが、腹の銀色の縞模様を綺麗に生かした「銀皮造り」は見た目も美しい。水に濡らし固く絞った日本手ぬぐいで、柵取りした新鮮な初鰹の腹身を包み、冷蔵庫で2~3時間寝かせます。そうすることで身が締まりアミノ酸が出て旨味が深まります。さらに腹身の銀皮に隠し包丁を入れると口当たりが和らぎ、一つ上の美味しさが味わえます。
卸した鰹に塩を当てて表面を焼く「鰹のタタキ」は皿鉢料理でも有名。タタキはご家庭でフライパンで調理することもできます。鰹に軽く塩を振り、フライパンには油は引かずに皮目から焼き、ある程度焼き色がつけば反対の身の方も軽く焼きます。出来ましたら一度氷水に落とし熱をとり、7㎜~1㎝にカットし盛り付けます。
初鰹 黄身醤油漬け
ひと手間加えた料理として、湯浅醤油を使った黄身醤油漬けをご紹介します。濃厚な湯浅醤油が黄味によってまろやかになり鰹の旨味をしっかりと引き立てます。室町時代に和歌山で醤油が出来上がった頃、同じような料理を当時の方も召し上がったかもしれません。
<材料>
- 鰹
- 卵黄
- 濃口醤油
- みりん
- おろしニンニク
- 長芋(短冊)
- 白ゴマ
- 刻み海苔
1.
黄身醤油を合わせます。卵黄、濃口醤油、みりん、おろしにんにくをボールに入れ混ぜ合わせます。
2.
次に鰹を3㎜幅にカットし、合わせた黄身醤油に約1時間漬け込みます。
3.
盛り付け、完成です。器の下には短冊長芋を敷き、漬け込んだ鰹を盛り付けします。
薬味に白ゴマ、刻み海苔を最後に。見た目、味もバランス良く仕上がります。
この料理は僧房酒のようなやや熟成した純米酒で楽しみたいです。
お薦めのお酒は、石川県・農口尚彦研究所の「YAMAHAI MIYAMANISHIKI」。
能登四天王と崇敬された伝説の能登杜氏が次世代の造り手と共に、最新鋭の近代設備で造り上げた酒です。70年にも及ぶ酒造り人生で蓄積したデータを基に濃醇旨口の酒の理想を追求したまさに「魂の酒」です。
初鰹 ハラス焼き
ハラスは魚の腹身のことで、鮪の大トロ等、脂と旨味が乗った部位です。
特に傷みやすい鰹のハラスは時間がたつと臭みが出てしまうので、タタキを作る際に卸す段階でハラスはカットされます。
冷凍販売されているものもあり、鮭ハラスのように最高のツマミになります。今回は新鮮な鰹のハラスをシンプルに炙り焼きにします。
鰹のハラスは鰹一匹から数十グラム程度しかとれない希少部位です。今回は1番メジャーな調理法「焼き」で仕上げます。
フライや煮付け、バターソテーにするのも美味しいですね。
<材料>
- 鰹ハラス
- 塩
- 長芋
- オレンジ
1.
鰹のハラスに軽く塩を振りかけ 1時間くらい置きます。
余分な水分が浮かび上がってきますのでキッチンペーパーなどで水気を拭き取って下さい。
2.
持ちやすいように金串を末広に刺し、皮目から焼いていきます。
3.
仕上げで長芋を細かく叩き、付け合わせます。
4.
盛り付けて完成です。
鰹のハラスにオレンジの絞り汁を掛けると、程好くさっぱりと美味しくなります。
ジントニックや酎ハイ、ハイボール等、様々なお酒と楽しめると思いますが、この料理には爽やかな純米吟醸酒を是非。
お薦めのお酒は、宮城県・新澤酒造店の「伯楽星 純米吟醸」。
究極の食中酒を目指して醸された繊細でシャープな辛口は、脂の旨味にあふれたハラスの味わいを引き立て、堪能させてくれるでしょう。
初鰹 血合いレバ刺し風
「血合い」は魚の背と腹の間の赤黒くなった部分の事です。名前に「血」がついていますが、実は血ではなく筋肉です。 鮮度が良いと鮮やかな赤黒い色ですが、次第に黒ずんでいきます。
体の中央に位置し、特に高速で泳ぐ鰹にとっては常に動いている筋肉のため、脂肪が少なく高蛋白でビタミンや鉄分なども豊富なのです。生臭さがありますので、カレー味の唐揚げ等も良いですね。
今回はレバ刺し風をご紹介します。残念ながらレバ刺しが食べられなくなって10年近くになりますが、なかなか満足のできる代用品に出会えませんね。新鮮な鰹の血合いには生レバーのような食感と味わいがあります。
この料理は新鮮な鰹でしか味わえません。臭みもなく鉄分豊富で身体に最高です。そぎ切りにし、ニンニクとごま油でぜひご堪能下さい。
<材料>
- 鰹の血合い
- 白ネギ
- みょうが
- 大葉
- ニンニク
- ゴマ油
- 白ゴマ
- 塩
- 金魚草(飾り)
1.
鰹を卸し血合いの部分を取ります。
2.
血合いは一口サイズの大きさにぞぎ切りにします。
3.
次に付け合わせの野菜(白ネギ、茗荷、大葉)を千切りにします。
4.
今回ニンニクは薄くスライスし、生と一度揚げた物、二種類用意しました。漬けダレはゴマ油と塩です。
盛り付けし、金魚草を飾れば完成です。(完成写真には玉ねぎスライスも入ってますがお好みでご用意下さい)
ビールも飲みたくなりますが、季節を爽やかに彩る夏らしい日本酒と楽しみたい。
お薦めのお酒は、石川県・農口尚彦研究所の「夏の生酒」。チリチリと感じるアルコールの刺激が心地よく、飲み込むと程よい苦味が爽やかなキレを演出します。ついつい杯が進む酒です。