酒をつくる世界遺産「日光の社寺」~日光東照宮の魅力~【小林酒造取材記】

1200年の年月が築きあげた宗教空間

日光東照宮の魅力

世界遺産「日光の社寺」は、二荒山神社、日光東照宮、輪王寺の二社一寺としての登録となっています。
徳川家康公の霊廟として、また、日光連山の山岳信仰に基づく社としてなど、1200年に及ぶさまざまな信仰が積み重ねられた結果、複合的な宗教空間が築きあげられています。

前述の記事でもご紹介させて頂いたように、鳳凰美田と「日光の社寺」は深いつながりがあります。今回はその中でも一番知名度の高い日光東照宮についてご紹介します。

日光東照宮は徳川家康公を御神祭として祀る神社で、現在の社殿群のほとんどが寛永13年に3代将軍家光によって建て替えられたものです。境内には国宝8棟、重要文化財34棟を含む55棟の建造物が並びます。

全国の名工が招集され、技術の粋を尽くした極彩色の建築模様がふんだんにほどこされ、その絢爛豪華な美しさは圧倒的です。

JR日光駅のモダンな駅舎

日光東照宮の魅力

日光東照宮の最寄駅であるJR日光駅は大正時代に建てられたもの。
ネオ・ルネッサンス様式のモダンな駅舎はレトロな雰囲気に溢れ、ここにいると、明治以降西洋の文化が流入し多くの西洋人が避暑や観光に訪れた当時にタイムスリップした気分が楽しめます。

後にできた東武日光駅は東京スカイツリーから直通で2時間かからない程度でアクセスが良く、観光の起点となっています。

異世界の宮殿のような神域

日光東照宮の魅力

土産物店が軒を連ねる街道を進むと、眩い朱色の神橋があり、その左手に輪王寺があります。

さらに進むと日光東照宮の表参道が現れます。
この参道は進むにつれ道幅が広くなっており、近くに見えてもなかなか近づかないような不思議な感じを演出しています。

日光東照宮の魅力

右手に日光東照宮の荘厳な石柱が見えると、その先に大きな石鳥居があります。
この鳥居をくぐると煌びやかな建造物が立ち並ぶ神域です。

日光東照宮の魅力

左手にある五重塔には寅、卯、辰の彫刻があしらわれ、それらは家康、秀忠、家光のそれぞれの干支を示しています。
寅の彫刻が随所にあるのも家康の権化だからでしょうか。

鮮やかな色合いの建造物が深い森に調和し、多くの神獣がひしめくように飾られ、まるで異世界の宮殿のような不思議な雰囲気を醸し出しています。

神社に五重塔や仁王門があるのは全国でも珍しく、ここが複合的な宗教空間であることを物語っています。

三猿の教訓

日光東照宮の魅力

左右に仁王像が据えられた表門から入ると、直ぐ左手に素木造の建物があります。
こちらは神厩舎で、有名な「見ざる、言わざる、聞かざる」の欄間彫刻が飾られています。

合計8枚ある欄間彫刻は猿の一生を表しており、全てに教訓が込められているとのこと。
素木の建物の側面にある彩色された彫刻はひときわ目を引き付け、見るものの想像を掻き立てます。

陽明門が秘めるパワー

日光東照宮の魅力

陽明門は、本殿に通ずる二つ目の門で、その絢爛豪華な姿から国宝に指定されています。
また、日光屈指のパワースポットとしても知られています。

唐銅鳥居を挟んで江戸城の真北に向き合うように配置され、ちょうど真上に北極星を見ることができます。
北極星は宇宙を支配する神とされ、御祭神である家康公にその方角から江戸の平和を見守って欲しい、そんな思いを込めて設計されたとのこと。
江戸時代が長きにわたり栄えたのは日光東照宮の庇護があったからだと納得します。

花鳥彫刻で飾られた煌びやかな廻廊

日光東照宮の魅力

本殿を取り巻く廻廊の外壁は花鳥の彫刻で隙間なく埋め尽くされています。
一枚板を透かし彫りにする高度な技術で造った極彩色の彫刻が煌びやかに外壁を取り巻く光景は圧巻。
国内最大級の花鳥彫刻として国宝に指定されています。

鳳凰などの霊獣に加え、松や牡丹、鶴などの縁起の良い物が数多く描かれ、ここが聖地であることを演出しています。

日光東照宮の魅力

唐銅鳥居をくぐり石段を上がると、そこに「飛び越えの獅子」と呼ばれる唐獅子の珍しい石像があります。
塀を飛び越える獅子の姿には、まるで陽明門に馳せ参じるような生き生きとした愛らしさがあります。

建築模様が調和する陽明門

日光東照宮の魅力

2017年に大修理を終えた陽明門は、創建当時の荘厳な姿を見せています。ふんだんに使われた金、数えきれない程の多くの装飾は500を越えます。

「鳳凰」「龍」「息」「龍馬」などの神獣がひしめき合うように飾られているほか、「逆さ柱」、「目抜きの龍」、「昇り龍、降り龍」などメッセージを持つ装飾、
さらには「唐子遊び」や「聖賢&仙人」など故事を表した彫刻も多数あり、一つ一つ見ていると、時を経つのを忘れてしまいます。

霊験や智や徳に満ちた模様が荘厳に調和している姿は東照宮の中でも特筆すべき存在と言えるでしょう。

御本社・奥宮

日光東照宮の魅力

陽明門の中に入るとそこは本殿前です。奉納の菰樽が飾られ、凛とした神聖な空気に満たされています。

白く彩色された彫刻で飾られた唐門の先に御本社があり、ともに国宝です。御本社は本殿、石の間、拝殿で構成され、大例祭などの祭典が執り行われる最も重要な場所です。

東廻廊にある坂下門は、奥宮への道に通じています。奥宮は家康公の霊廟で最も厳粛な所。
その門番として飾られているのが国宝「眠り猫」。江戸時代の彫刻家左甚五郎によるもので、その作品には魂が宿るという伝説をもつ名工です。
神聖な奥宮の守護として今にも襲い掛かってくるような姿勢を保ちながらも眠っている、「眠り猫」は平和の象徴ともいわれています。

日光東照宮の魅力

日光には二社一寺以外にも、華厳の滝を始めとする数々の名瀑があり、中禅寺湖や奥日光などの大自然も見どころ満載です。
地域ブランドとしての日光はようやく始まったばかりで、その可能性は無限といえるでしょう。

小林酒造は、その核ブランドとして鳳凰美田日光シリーズを発売し、日光の地と共に歩みだしました。
ミズナラの植樹の予定もあるとのこと、益々魅力が引き出されていく日光の地を訪れ、是非その魅力を実感していただければと思います。

日光東照宮の魅力

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