生酒の歴史は配送技術の歴史
秋から冬にかけ、日本酒の製造は最盛期を迎えます。毎年この時期にリリースされる搾りたての生酒は、出来たての瑞々しくフレッシュでフルーティーな美味しさが楽しめます。さらに、微発泡の爽快感が得られるタイプもこの時期ならでは。日本酒ファンにとって、とても嬉しい季節です。
日本でのお酒の歴史は古く、日本最古の書物「古事記」にも記載されているほどですが、日本酒が庶民に広く知られるようになったのは江戸時代。けれども当時は冷蔵庫がなく、酵母が生きている状態である搾りたての「生酒」は温度の変化が天敵。品質が変化してしまう事もしばしばあったそうです。
昭和以降、家庭に冷蔵庫が普及しましたが、輸送中の徹底した温度管理の技術は乏しく、地元以外の酒屋やスーパーでの取り扱いが難しい状態でした。その為、わざわざその地に出向く生酒ファンもいる程。それほど生酒というものは温度変化にとてもデリケートであり、造りたての酒をダイレクトに味わえるコトも大変貴重なものでした。
冷蔵、瓶詰め、輸送の技術が向上し、徹底した温度管理が可能になった今、日本各地の生酒が全国のご家庭でも気軽に楽しめるようになりました。まさに!造り手にとっても、私達飲む側にとっても大変喜ばしい事ですね。
日本酒を扱うときは、造り手、売り手のみならず、わたしたち飲み手もベストな品質管理というものを知っておきたいですね…!
ちなみに、この品質管理の問題を打開すべく誕生したのが「火入れ酒」と呼ばれる、絞った日本酒を加熱処理する技術。生まれは今から約400年程前と言われておりますが、詳しい話はまた後ほど…!
生酒の取り扱いについて
● 鮮度が命の「生酒」は味の変質を防ぐため、約5度前後の温度で保管をしましょう。
鍵やでは品質管理のため温度管理を徹底し、特に貯蔵温度の影響を受けやすい「生酒」は、気温を0度に保った冷暗所にて保管しています。ご家庭でも購入してから飲み切るまで必ず冷蔵保管してくださいね。
● 美味しく飲めるのは開栓前なら製造年月日から半年以内。開栓後は10日前後を目処に飲み切るのがオススメ。開栓10日後を過ぎても、1か月以内でしたら風味が変われど、品質に問題はございません。
生酒の楽しみ方
要冷蔵商品ですので、冷蔵庫から出したその温度で飲んだり、さらに氷水でキンキンに冷やして雪冷えでもお楽しみください。冷やすと甘さが抑えられてスッキリしますので、淡白なお料理にはより冷たい方が合うでしょう。
前菜と共にキンキンにした生酒でお食事をスタートして、氷水から出した状態で次のお料理と合わせていくといいマリアージュになるのではないでしょうか。私はお猪口だけではなく、ワイングラスを使って香りや味わいの広がりを感じたりもしています。
同じタンクから生まれたお酒でも貯蔵や製法の違いで味わいは様々。フレッシュな香りと味わいをあなたも楽しんでみてはいかがでしょうか。