酒を楽しむ赤武の新酒と定番を飲み比べ!

今回は岩手県の純米酒 赤武 AKABU の生酒と火入れ酒の 2 種類をご紹介します。

最も勢いのある赤い兜

赤武飲み比べ

赤武酒造は創業から百年以上もの長い歴史を持つ老舗酒蔵です。
そんな赤武酒造を突然襲ったのは2011年の東日本大震災。岩手県大槌町の赤武酒造の蔵は、海から500メートルの場所にありました。津波で蔵が完全に流されてしまい、亡くなった従業員もいて、しばらくは会社として成り立たない時期もあり、社員も退社してしまい、ゼロからの出発を余儀なくされた赤武酒造。蔵も住居も従業員も全て失った 5 代目当主の粘り強さで、震災から 2 年後の 2013 年には国の補助も受け盛岡市内に蔵が再建され、赤武酒造は復活を遂げました。

この年に史上最年少の 22 歳で就任した新しい杜氏が、6 代目就任から 1 年後の 2014 年に立ち上げた新銘柄が こちら赤武です。6代目を中心に[赤武酒造の新しい歴史を創る]を合言葉に集まった若き蔵人達と共に、(5 代目と 6 代目の)2 世代杜氏として、岩手県から日本を代表する銘酒を造りたいという思いで醸している赤武 -AKABU-

コンセプトは【料理の進む酒、会話の進む酒】

●赤武 純米 NEWBORN 生酒
原料となるお米は 吟ぎんが
精米歩合は 60%(お米の周りを 40% 削っています)
アルコール度数は 15 度

●赤武 純米 火入れ酒
岩手県産米を原料としています。
精米歩合は同じく 60%
アルコール度数は 16 度

それでは飲み比べてまいりましょう!

外観

赤武飲み比べ

赤武は生酒も火入れ酒も、スクリューキャップではなく、栓をしてリリースされています。開栓前に少し動かしてしまっていたからなのか、生酒の栓を開けた時にポンっと音がして少しお酒がこぼれ出しました。生きてるー!と思わずニンマリ(笑)

どちらも無色透明ですが、生酒は少し発泡していますので、黒いものを後ろに置いて見比べると生酒の方には小さな気泡が見られます。開栓翌日にはグラスの下の方の内側に、気泡が少し貼り付いているような具合です。

香り

生酒にはリンゴやナッツのような香りがほんのり。
火入れ酒はフルーティーでお米の甘い香りも感じられます。

味わい

赤武飲み比べ

生酒の方は、まず甘みとシュワ感が来てすぐに酸味、旨味がバランスよくやってきます。
ふくよかなこの生酒を飲み込んだ後も、旨味と心地よい苦味が喉の奥に長ーく残るので、ゆっくりじっくり時間をかけて嗜みたい味わい。開栓翌日にはシュワ感はなくなり、甘みが増して よりジューシーになっていました。

火入れ酒の方はサラリとした口当たり。何このフレッシュ感!と驚いてしまう程でした。生酒が熟れたリンゴだとすれば、火入れ酒はまだ硬いリンゴというくらいの違いがあります。爽やかであり、それでいてお米の旨味もしっかり感じられるこの火入れ酒は、喉の奥にすぅーっと消えて行く感じが飲みやすく、気付けば 2口 3口とどんどん行ってしまいます。

私が合わせてみたい料理

赤武飲み比べ

パワフルボディーのこの生酒には、ブリの照り焼きや鯛のあら炊きのような お酒に負けないしっかりとした甘辛いお味のお料理を。
スッキリしていながら厚みもあるこの火入れ酒には、濃すぎない味付けのおでんのような、味付けはお出汁ベースだけれど、奥に練り物などの具材から出るコクが楽しめるお料理が(常温だけでなく冷やしてもぬる燗や上燗でも)マッチするのではないでしょうか。
冷たく冷やしてお造りにもいいですね。

若い杜氏の情熱が生み出した次世代の酒 赤武 -AKABU-
復興の象徴として世に知られたお酒ですが、蔵元では[悲しいお酒]というイメージから脱却し、笑顔で飲んでいただけるお酒を目指しているそうです。

美味しいお料理を食べながら、会話を楽しみながら、幸せな気持ちで赤武を味わっていただけますように。