出汁・乾物を使った酒に合う料理3品
今回は、出汁と乾物を使った酒に合う料理レシピを、和食料理人岡田昌己さんにご紹介いただきました。一番だしは手間がかかるので自宅で作るのはなかなか機会がないと思いますが、一度チャレンジしてみては如何でしょうか。とっておきのお酒がさらに美味しく飲める為だと期待し、お試しいただければと思います。
一番だし
<材料>
- 水
- 利尻昆布
- 花かつお
量はレシピの半分や1/3でも良いのですが、少量だと調理がしにくく、加熱温度が上がりすぎ、苦味が出たりするので注意が必要です。また、昆布と鰹節の量もレシピによってまちまちですが、水出しでうま味をしっかり引きだすため、今回のレシピはたっぷりと使うようにしています。
1.
鍋に水と昆布を入れ、常温で10時間漬けます。(夏は冷蔵庫に入れてください)
2.
次に火にかけ、沸騰したら昆布を引き上げます。少量の差し水をし、温度を下げます。(85度が目安)
3.
花かつおを手でほぐしながら入れます。
4.
沸騰したら火を止め (沸かしすぎない)、次にアクを丁寧に取ります。
5.
かつおが沈み始めたらペーパータオルなどで静かに漉します。
(自然に水気を切るように。絞ると出汁が濁る原因になります。)
*補足
温度管理によって一番出汁を美味しくとる方法は科学的に研究されています。
とは言え、ご家庭で温度を一定に保ちながら調理することは難しいので、「水出し」をお薦めします。
鍋やタッパーに入れて蓋をしておくだけなので手間はかかりません。
ただし、温度は常温で。冷水だと昆布が戻りにくいのでご注意ください。水温が20度位ありましたら、時間は7~8時間でも十分でしょう。
香り高く、黄金色に澄んだ出汁のうま味を是非ご堪能ください。
出汁割りの試飲
普通酒を45度程の燗にし、出汁割りにしました。
出汁:酒を、1:2、1:1、2:1の3パターンに割って比較してみます。
おでん出汁ではなく、今回ご紹介の一番だしを薄口醤油で少し調味したものを使用しました。
一番だしはグルタミン酸とイノシン酸がピュアに調和した繊細なものなので、食材の素材を生かすためには良いのでしょう。
一方、出汁割り用の出汁は二番だしをベースにしたおでん出汁のように、多様な味が複雑に調和したものの方が合うのだと感じました。
一番だしはおでん出汁とは似て非なる物なのかと感じます。
温度が高いと甘味が際立ち、苦味等をマスキングしてバランスが良くなるので50度程度の熱めが良い。香りも勝ちすぎないように出汁は控えめにするのが良いでしょう。春は間近ですが、個人的にもう少し出汁割りを試してみようと思います。